ミッションステートメント

OMOIKANetプロジェクト ミッションステートメント

Open Multi-Objective Inter-Knowledge Architecture Network

the Begining of the Innovation
「通信モジュールを全てのMakersの手の元へ」

OMOIKANetはオモイカネ神よりお名前をお借りしました。全てのMakersの手の元に通信モジュールを届け、その知を以って新しい世界を創造するために...


 1.OMOIKANetプロジェクトを取り巻く環境・潮流

1)製造業のビジネスモデルの変化

従来型の製造業の典型的なビジネスモデルは、独自仕様による差別化を狙って開発設計を自社で行い、製造拠点の集約により大量生産を行って規模の経済を追及し、製造コスト(主に労働コスト)を低減させることで利益を出すものでした。ところがこの数年、「製造業の民主化」という表現に代表されるように、製造業のビジネスモデルに変化が見られます。ここでのキーワードは、「オープン」「共創」「ローカル」です。既にGEはインターネットを利用したインソース開発を始めており、ローカルモータースは地域で1台からの車づくりを実現しています。そしてこの流れは今後益々加速していくものと予想されます。我々には新しい時代の製造業のビジネスモデルに合わせた新しいビジネスを展開していくことが求められています。

 2)ホームオートメーションの場合

20年以上も前から多くの方がアプリケーションを発表しています。そして、技術的には既に枯れていると言っても過言ではないほど、現在の技術・インフラをもってすればこれらを容易に実現可能な時代になりました。しかるに何故、全くと言ってよいほど普及していないのでしょうか。例えばEchonetを例に取れば、確かに業界標準仕様は定められました。しかし普及しているとは言いがたい状況です。そこには従来型のビジネスモデル・商慣習では乗り越えられない壁があると考えられます。それは、差別化の罠であったり、事実上の参入障壁の存在であったりします。しかし、製造業の新しいビジネスモデルはこれら既存業界に対する破壊的イノベーションになる可能性を秘めています。

 3)通信モジュールの場合

例えば秋葉原の電子部品小売店舗で、ホビーストやスモールビジネスの開発者が1個から買えて手ずから試すことのできる通信モジュールは一体どれくらいあるでしょうか。従来の部品メーカーのビジネスモデルでは、大口のユーザー、つまりは大手の自動車メーカーや家電メーカーに販売することに注力していたため、これらのマーケット向けにはほとんど流通していませんでした。そればかりか、これらのユーザーに向けた技術情報の公開も遅れています。市場にはアイディアと能力とモチベーションに溢れた、新しいイノベーターが隠れています。製造業の新しいビジネスモデルは、これらの隠れたユーザーが通信モジュールにアプローチできる環境を提供します。それは将来のイノベーションを生む土壌となります。

 4)ITの行き着く先

ITの技術進化はこれまで、Realityを追求してきました。VirtualReality(VR:仮想現実)であったりAugmentedReality(AR:拡張現実)であったりと呼ばれるものは、仮想空間上に保持され表現されるデータを如何に現実に近づけるかがテーマでした。ITの技術がある一定程度Realityに近づいた現在、これからITが向かう方向のひとつには、Realとの融合というテーマが待っています。いわばRealityからIT(y)が消えた時Cyber-Physicalな世界が現出し、IT技術者にもPhysicalな技術の習得が求められる時代が来ます。

 5)ビッグデータ

インターネットを介してあらゆるデータが一元化される時、新しいアイディアやビジネスが生まれると言われています。しかしながらビッグデータを実現するためには、未だに多くの障壁が存在します。中でも、データ所有権の定義やインセンティブシステムの構築は、実際にデータが交換される際には避けて通れない問題でありながら、その解決策が充分に提案されているとは言い難い状況です。ビッグデータを実現するためには、新しい世界の創造が待たれます。

6)破壊的イノベーション

破壊的イノベーションが起きた時、既存企業は正にこれまでに培ってきた経験や環境が邪魔をしてこれらのイノベーションを取り込むことができないため、イノベーション企業に駆逐される。クリステンセン教授の言うイノベーションのジレンマです。では、どのような場合に破壊的イノベーションが起こるのか。クリステンセン教授は、無消費者に商品やサービスが提供される時がその時だと言います。今まで様々な制約により商品やサービスにアプローチできなかった消費者から制約を取り除くその時、破壊的イノベーションが現れます。

 


2.OMOIKANetプロジェクトのミッション(使命)

 1)通信モジュールを全てのMakersの手の元へ

これまで通信モジュールにアプローチすることのできなかったホビースト、スモールビジネスの開発者、IT技術者。これら全てのMakersの手の元に通信モジュールを届けることがOMOIKANetプロジェクトのミッションです。ホビーストは新しいアプリケーションを自分の手から生みだし、スモールビジネスの開発者は消費者に手の届く様々なアプリケーションをサービスし、IT技術者はCyber-Physicalの新しい地平を切り開きます。ここでのキーワードは「オープン」「共創」「ローカル」。クリステンセン教授の言う無消費者が通信モジュールを手にしたとき、イノベーションは起こり、製造業の新しいビジネスモデルが実現されます。従来のビジネスモデルでは構築できなかった新しいスタンダードは、既存企業のビジネスの延長からではなく、正に一人一人のMakersの手により発生し成立していくのです。

 2)日本の製造業に新しいインフラを

OMOIKANetプロジェクトは組込技術とサーバ技術とUI技術を融合し、Makersがアプローチし易い環境を提供します。OMOIKANetプロジェクトが提供する環境は、ビッグデータ交換を実現する新しい世界を構築します。全てのMakersはOMOIKANetプロジェクトに参画することで、この世界が生み出す様々なメリットを享受することができます。OMOIKANetプロジェクトは通信モジュールとその接続環境のサービスにより構成されますが、単なるサービスの提供ではありません。OMOIKANetプロジェクトはSaaI(Service as a Infrastructure)として日本の製造業に新しいインフラを提供し、製造業の新しいビジネスモデルを創出します。


 3.OMOIKANet プロジェクト名に託した未来

 1)八意思兼命(やごころおもいかねのみこと)

オモイカネ(おもひかね)は、日本神話に登場する神。知恵を司る神である。名前の「おもひ」は「思慮」、「かね」は「兼ね備える」の意味で、「数多の人々の持つ思慮を一柱で兼ね備える神」の意である。思想や思考、知恵を神格化したものと考えられている。「八意」(やごころ)は多くの知恵という意味であり、また立場を変えて思い考えることを意味する。高天原の知恵袋といっても良い存在である。(以上、Wikipediaより)

 2)OMOIKANet

OMOIKANetプロジェクトは八意思兼命様よりお名前をお借りしました。全てのMakersの手の元に通信モジュールを届け、製造業の新しいインフラを提供するOMOIKANetプロジェクトは、「数多のMakersの持つ知を一柱で兼ね備えるシステム」を目指して立ち上げました。OMOIKANetプロジェクトはオープン(Open)で多目的(Multi-Objective)で、参加者の知が交わる(Inter-Knowledge)よう構成された(Architecture)ネットワーク(Network)です。多くのMakersの知が、そしてそこに集まったデータが、新しい世界を創造する。OMOIKANetというプロジェクト名は、知を司る八意思兼命様よりお名前をお借りしつつ、そのままプロジェクトのミッションを体言するように名付けました。